個人再生の清算価値とは?計算方法についても説明

個人再生では「清算価値」というものが重要だということを耳にした経験がある人は少なからずいると思いますが、清算価値というものが具体的に何なのかは少し理解しづらいかもしれません。

ここでは、個人再生で返済額を決める重要な基準となる清算価値について説明し、自分で清算価値を計算するにはどのようにすればよいかを解説していきます。

個人再生の清算価値とは?

個人再生では返済額を決める際、借金額ごとに定められている「最低弁済額の基準」と、財産をすべてお金に替えた場合の金額である「清算価値」とを比較し、金額が大きい方が返済すべき金額となります。

例えば、借金額が1000万円の人の場合、最低弁済額の基準は200万円なので、財産がまったくなければ返済額は200万円となります。

しかし、80万円のバイクと150万円の車を持っていたとすると、清算価値が230万円となって最低弁済額の基準を上回るため、返済額は230万円に設定されます。

個人再生での清算価値を計算する方法

個人再生における清算価値を計算するには、持っている財産の価値を正確に把握して、個々の金額が20万円を超えるものをすべて合計する必要があります。

個人再生で財産として扱われるものとしては、99万円を超える現金や預金、株や為替などの有価証券、家・土地・建物などの不動産、車やバイク、保険の解約払戻金、退職金見込額の8分の1などです。また、20万円を超える価値がある美術品・骨とう品・装飾品などの物品も財産扱いとなります。

例えば、預金300万円に加えて、1000万円の価値がある土地と120万円の価値がある車を持っている人の場合、清算価値は1420万円ということになります。

ちなみに、99万円以下の現金、20万円以下の価値しかないもの(パソコン、スマホ、携帯電話など)、生活必需品(家具や家電など)は財産扱いにならないので、清算価値に含める必要はありません。

まとめ

個人再生では返済額を決めるために、財産をすべてお金に替えた場合の金額である「清算価値」という基準を用います。借金額ごとの最低弁済額の基準と清算価値を比べて、金額が大きい方が返済額となります。

個人再生での清算価値を計算するには、99万円を超える現金や預金、有価証券、家や土地、車やバイク、退職金の8分の1、保険の解約払戻金、その他20万円を超える価値がある物品の査定額を合計すればOKです。

なお、99万円以下の現金や、家具や家電などの生活必需品については、価値が20万円を超えていても清算価値に含める必要がありません。

個人再生の必要書類まとめ!裁判所への申し立て前に準備しよう

個人再生では借金の元本を5分の1程度に減額してもらうことが可能ですが、申し立てをするためには多数の必要書類を揃えなければなりません。

ここでは、個人再生の必要書類について、作成するものと集めるものとに分けて説明していきます。

個人再生の申し立て前に作成する必要書類

まず、個人再生の申し立てには、本人に関する情報を記した申立書や、本人の職業・収入などについてまとめた陳述書が必要となりますが、これらは裁判所からテンプレートを取り寄せて記入することになります。

また、本人の収入や支出、同居している家族の収入といった家計の状況を示す家計収支表という書類も必要ですが、これは簡単に言うと家計簿のようなもので、23カ月程度つけることになります。

加えて、借金の借入先や金額、借金をした時期などを示した債権者一覧表を作成しますが、これは借金に関する情報を弁護士や司法書士に伝えて作成してもらいます。取引明細書や契約書、キャッシングのカードなど、借金に関する資料があればスムーズに作成できるので、手元にある人は法律事務所に持っていきましょう。

さらに、財産がある人は財産の一覧表である財産目録も作成します。

個人再生の申し立て前に集めておく必要書類

個人再生の必要書類のうち、集めるだけでいいものとしては、まず本人の身分を証明する戸籍謄本や住民票といったものがあります。

次に、給与明細書・源泉徴収票・確定申告書・年金通知書・所得課税(非課税)証明書といった収入を証明する書類や、通帳のコピー・同居人の収入を証明する書類・賃貸借契約書といった家計を証明する書類も必要となります。

さらに、財産がある人は持っている財産に応じて、車検証のコピー・登録事項証明書、固定資産評価証明書、保険証書・解約払戻金証明書といったものも用意します。

まとめ

個人再生の申し立て前に作成しておく必要書類には、申立書、陳述書、債権者一覧表、家計収支表、財産目録(財産がある人のみ)といったものがあります。

また、個人再生の申し立て前に集めておく必要書類としては、戸籍謄本や住民票といった身分を証明する書類、給与明細書・源泉徴収票・確定申告書・年金通知書・所得課税(非課税)証明書といった収入を証明する書類、通帳のコピー・同居人の収入がわかる書類・賃貸借契約書など家計の資料となる書類、財産に関する証明書といったものが必要となります。

個人再生しても引っ越しはできる?注意点についても解説

借金を減額してもらうために裁判所へ個人再生を申し立てた後でも、仕事や家族の都合で引っ越しをする必要が生じる可能性はあると思います。

ここでは、個人再生の手続き中や返済中に引っ越しができるかどうかに加え、個人再生後に引っ越しをする場合の注意点についてもまとめていきます。

個人再生の手続中・返済中に引っ越しをしたい場合

裁判所に個人再生を申し立てた後、個人再生の認可決定または不認可決定が出る前に引っ越しをする必要が生じた場合は、裁判所に住所変更の届出をすれば、手続中でも引っ越しをすることが可能です。

その際、家賃など家計の状況が変わることになる場合は、裁判所に家計の収支について説明をする必要があります。

個人再生の手続きが完了した後、返済中に引っ越しをすることになった場合は、裁判所への届出は特に必要ありません。

個人再生後の引っ越しではブラックリストに注意

個人再生をすると、クレジットカード会社などが加盟している「信用情報機関」に個人再生の情報が登録され、ブラックリストと呼ばれる状態になります。

ブラックリスト中はクレジットカードが使えないので、家賃の支払方法がクレジットカードのみの場合は賃貸契約ができないことが多いです。

ただし、クレジットカードが利用できない事情を大家に相談し、家賃の支払いに問題がないことが説明できれば、家賃を口座引き落としなどにしてもらえる可能性はあります。

また、ブラックリスト中はライフやオリコなど信販系の家賃保証会社が使いづらくなるので、審査に落ちてしまった場合は信販系以外の家賃保証会社を紹介してもらうとよいでしょう。

まとめ

裁判所に個人再生を申し立ててから個人再生の手続きが完了するまでの間に引っ越しをしたい場合は、裁判所に住所変更の届出をする必要があります。

個人再生の手続完了後、返済中に引っ越しをしたい場合は裁判所への届出は必要になりません。

ただし、手続中・返済中のいずれも、ブラックリストによってクレジットカードが使えなくなる、信販系の家賃保証会社が利用しづらくなるといった制限がかかるので、その点には注意が必要です。

個人再生すると連帯保証人はどうなる?迷惑をかけない方法も

借金が返しきれずに悩んでいる人の中には、奨学金など連帯保証人付きの借金があるという人も少なくないでしょう。

この記事では、連帯保証人付きの借金がある人が個人再生を行った場合の連帯保証人への影響について説明したうえで、連帯保証人に迷惑をかけずに借金を整理する方法も紹介していきます。

個人再生すると連帯保証人に請求が行く

個人再生は裁判所に申し立てて行う法的な手続きであるため、すべての借金を平等に整理しなければならないという決まりがあります。

そのため、連帯保証人付きの借金がある人が個人再生を行った場合、借金の残高は保証人に一括払いで請求されることになり、保証人に多大な迷惑がかかります。

連帯保証人付きの借金として注意したいのが、人的保証で借りた奨学金です。

奨学金も借金の一種とみなされますので、連帯保証人が付いている場合は奨学金の残高が一括請求されることになります。

連帯保証人に迷惑をかけたくないなら任意整理

連帯保証人に一括請求が行くのを避けて借金を整理したいなら、個人再生ではなく任意整理を選ぶのがよいでしょう。

任意整理は個人再生とは異なり、裁判所を通すことなく私的に行う交渉であるため、対象に含める借金を自由に選ぶことができます

例えば、奨学金200万円、アイフルからの借金80万円、アプラスカードの借金50万円の計330万円を借金している人の場合、奨学金だけは任意整理の対象とせずに、アイフルとアプラスカードの借金計130万円を任意整理することが可能というわけです。

任意整理では、個人再生とは違って元本自体は減額されませんが、利息や遅延損害金を全額カットとしたうえで返済期間を60回払い程度の長期にしてもらうことで、毎月の返済額を小さくできます。

上述の例だと、アイフルとアプラスカードの借金130万円は、利息である約39万円が0円になり、毎月の返済額が約47000円から約22000円まで減額可能です。

まとめ

個人再生ではすべての借金を同じように整理しなければいけないので、連帯保証人付きの借金であっても対象から外すことはできません。

連帯保証人付きの借金がある人が個人再生すると、連帯保証人に借金の残高が一括払いで請求されます。

連帯保証人に迷惑をかけずに借金を整理したい場合は、連帯保証人付きの借金を対象から外せる任意整理を利用するのがよいでしょう。

嘘をつくと個人再生に失敗する!押さえておきたい2つのポイント

個人再生をする時は、担当する弁護士に自分の情報や状況について嘘をついてしまうと、最善の方法を考えてもらえなくなってしまいます。さらに、信頼関係を壊してしまえば弁護士に辞任されてしまうおそれもあります。
また、個人再生は裁判所を通す手続きであるため、申告した情報に嘘がある場合は申し立ての棄却や個人再生手続の却下といった結果にもなりかねません。

なぜ個人再生で嘘をついてはいけないのか

個人再生には、申し立ての段階で提出しなければならない書類がたくさんあります。
その中には、自分の借金額を申告しているものや、収入・財産の価格について記しているものなど、個人再生の条件を満たしているかを判断するために使われる情報もたくさん記載されています。
そうした情報で嘘をつくと、個人再生の手続きがスムーズに進まなくなったり、申し立てが受理されなかったり、個人再生が棄却されたりといった事態になりかねません。

個人再生で特に嘘なく正確に申告すべきところは?

個人再生ではすべての情報を正確に記述することが重要ですが、特に嘘をついてしまいやすいポイントはいくつかあります。
まず、借金額が5000万円を超える場合は個人再生できないという明確なルールがあります。借金額で嘘をついて申告するのではなく、自己破産という債務整理を利用するべきでしょう。
次に、自分の収入が申告した金額より明らかに少ない場合です。申し立てで棄却される場合もありますし、個人再生後に返済がしきれず、個人再生での借金減額が取り消されてしまうことになりかねません。
また、財産を隠すのも不正行為です。
個人再生では、返済すべき借金額が「最低弁済額の基準」と「清算価値」の2つで決められます。
最低弁済額の基準は借金額ごとに決められているのですが、清算価値は持っている財産を売却処分したときの価格にあたります。
例えば、500万円の借金は最低弁済額の基準からいって返済額が100万円になりますが、財産として120万円の車を持っている人だと、返済額は120万円になります。

まとめ

個人再生では自分の情報や状況に関する書類を数多く提出することになりますが、その内容で嘘をついてしまうと、個人再生が受理されない・棄却されるといった事態につながります。
個人再生ではすべての情報を正確に申告することが大切ですが、嘘をついてしまいやすいポイントとして、借金額・自分の収入・財産の金額といったものがあります。
借りに手続き中に嘘を通せたとしても、返済中に嘘がバレたら個人再生が取消になってしまうので注意してください。

個人再生中に訴えられたらどうなる?対策は?

借金問題をなんとかしようとしてせっかく個人再生を申し立てたのに、会社側から訴えられたら焦りますよね。
実際のところ、個人再生を申し立てたからといって裁判に訴えてはいけないという決まりはありません。
しかし、個人再生の手続きが終わるまでは、強制執行・差し押さえをすることができませんので、そこまで恐れることはありません。

個人再生を申し立てる前に訴えられたら?

個人再生をするときはまず、個人再生を行うことを知らせる「受任通知」を弁護士などから会社側へ送ってもらいます。
通常であれば、受任通知の受領後は個人再生の手続き気が終わるまで裁判で訴えられることはありません。
ただし、受任通知の送付後、裁判所に個人再生を申し立てるのに何か月もかかっている場合などは、悪質と判断されて裁判に訴えられることもあります。
しかし、以下で説明しますが、個人再生の手続きをすることが決定しているのに裁判で訴えるメリットはほとんどありません。

裁判に訴えられたら個人再生はどうなるの?

裁判に訴えられたからといって、個人再生が中止になったり、不利になったりすることはありません。
個人再生をする大きなメリットの1つとして、強制執行・差し押さえの手続きを中止することができるという点があります。
個人再生中は給料の差し押さえなどができませんし、個人再生が認められれば強制執行・差し押さえの手続き自体が失効します。

個人再生の申し立てを無意味に遅らせると訴えられる

上記のように、誠意をもって個人再生を行う場合は、差し押さえなどに発展するケースはほとんどありません。
しかし、弁護士などに依頼をしてから何か月も申し立てがされないとなると、会社側も借金を回収する必要があるので、裁判に訴えてきます。
個人再生をするときは、無意味に時間がかかってしまわないよう、スムーズな準備をすることが大切だといえるでしょう。

まとめ

個人再生をする前に訴えられたら、まずは訴状を確認して弁護士に相談しましょう。
個人再生の申し立てを行ってしまえば、裁判が進んで支払命令が出ても強制執行や差し押さえの手続きを中止することができますし、個人再生が認められればそうした手続き自体が失効します。
良くないパターンとしては、弁護士などに依頼をしてから何か月も申し立てが行われないケースです。
個人再生をするときは、弁護士などか指示される事前の準備に協力し、スムーズに手続きを勧められるようにしましょう。